【アジア大会選考会・織田幹雄記念国際②】

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【アジア大会選考会・織田幹雄記念国際②】
やり投は男女ともスズキ浜松ACが優勝。日本記録保持者のサポートも力に

 織田記念は男女やり投も国際レベルの種目として注目され、男子は新井涼平、女子は斉藤真理菜のスズキ浜松AC勢が優勝した。新井は昨シーズン悩まされた故障が完治し、斉藤は持ち味の勝負強さを発揮した。

 2018年陸上界最大の目標、4年に一度のアジア大会(8月にインドネシアのジャカルタ開催)の選考会である織田幹雄記念国際が4月28・29日の2日間行われた。大会2日目は前日までのぽかぽか陽気から若干気温が下がった影響か、記録は全体的に低調だった。男女やり投も新井は79m81、斉藤は59m60が優勝記録。どちらも国際レベルへの目安である男子80m台、女子60m台に惜しくも届かなかった。

 新井は久しぶりにすっきりした表情で取材スペースに現れた。
 昨年はシーズンベストが82m13と2014年以降では最も低い数字で、80m超えも年間で1試合だけ。首を痛めたことで左手に痺れが出て、次に右手に出て、その影響で他の部位も痛めてしまった。縦方向(前後)が強調された動きが新井の投げの特徴だが、横方向(左右)の捻りも加えて新たな技術を習得しようとしたところ、それが新井には合っていなかった。症状がひどいときは、姿勢によっては寝るのもつらかったし、通常は70kg以上ある左手の握力が23kgまで落ちた。
「去年はボロボロでしたが、リハビリが効いてこの冬からやっと、しっかりしたトレーニングができるようになりました。重りをつるしたチューブを使用した筋トレなどで、首を鍛えました」。冗談めかした口調ではあったが、「皆さんも首のケガは絶対にしない方が良いですよ」という言葉に新井の苦労が垣間見えた。

 捻りを入れる動きは断念したが、そのことで以前のフォームをさらに突き詰める気持ちが固まった。目指す方向が決まれば、新たに見えてくるものもある。
「今日はまだ、最後に左脚を着いたときの地面からの反力が、手まで届いていません。腰のところで全部抜けてしまっている感じです。それがやりまで届けば一気に記録は伸びますね。リハビリトレーニングに取り組んだことで基礎的な部分がしっかりしてきました。今の状態で80m手前まで行くなら、今後もっともっと行くでしょう。今季中に自己記録(86m83の日本歴代2位)も狙えます」
 アジアの男子やり投は近年、記録がどんどん上がっている。世界陸上で決勝(12人)に進んだことのある新井でも簡単に勝てるレベルではないが、85m以上をアジア大会本番で投げれば金メダル争いに加わることができる。

 女子は60mに届かなかったものの4選手が58m以上を投げる好勝負になった。
 宮下梨沙(大体大T.C)が1回目の59m12でリードし、北口榛花(日大)が2回目に58m43、久世生宝(コンドーテック)が3回目に58m29で追う展開に。斉藤はベストエイトを決める前半3回までは57m台だったが、4回目に59m60を投げて逆転。北口も4回目に58m62へ記録を伸ばすなど、見応えのある攻防を展開した。
 逆転優勝した斉藤だが、自己記録の62m37に約3m届かなかった。やり投の3mショートは悪い部類に入らないが、「今日は自分の投げが1本もできなかった」と斉藤は反省する。
「助走で上半身を上げて、(構えに入るところで)右に残すことを意識していました。上半身が突っ込んでしまって綺麗に飛ばせませんでしたが、ちょっとだけ良かったのが4投目です」
 斉藤の特徴は大舞台に強いこと。昨年はロンドン世界陸上で60m86と五輪&世界陸上での日本人最高記録を投げ、学生の世界大会であるユニバーシアードでは62m37の国外日本人最高で銀メダルを獲得した。
 5月のゴールデングランプリではアジアの強敵である中国勢との対決も予定されている。そこでどこまで記録を伸ばせるかが次の焦点だ。

 日本のやり投界を牽引するスズキ浜松ACでは、昨シーズンいっぱいで引退した女子日本記録(63m80)保持者の海老原有希さんがコーチに就任した。
 技術的な部分は海老原さんのコーチでもあった国士大の岡田雅次監督が、新井、斉藤とも指導する(3人とも国士大出身)。海老原さんも国際大会中の行動の仕方など細かい部分から、競技へ取り組む心構えまで多岐にわたってアドバイスをする。この日もスタンドから岡田監督とともに2人に指示を出したり、声援を送ったりした。
「女子をピットの外からじっくり見るのは初めてでした。誰かが59mを投げれば、別の選手も59mで続くというところは良かったと思いますが、60mラインを目標にしていたら58~59mになってしまう。世界に出るためにも62m、63mと思ってやってくれたら、(気象条件などが悪くても)60mを超えられると思います。私たちスタッフも感じたことを精一杯アドバイスしますが、(スポーツは)それが100%正解という性質のものではありません。選手たちがどう解釈して、どう取り入れていくか。それによって投げが変わってきます」
 海老原さんは自分を育ててくれたやり投界全体に心配りをしているが、大学・社会人と同じチームでやってきた2人に対しては「ポイントを伝えやすい」と言う。
 日本の得意種目である男女やり投の伝統をつないでいく役目が、アジア大会金メダリスト(2010年広州大会)に期待されている。

#アジア大会 は8月ジャカルタ開催
#東京五輪 前最後の総合競技会
#TBS 系列生中継

TEXT / photo by 寺田辰朗

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