【アジア大会選考会・織田幹雄記念国際】

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【アジア大会選考会・織田幹雄記念国際】
山縣とケンブリッジの対決は見応え十分も、記録的には不完全燃焼に

 シーズン序盤、4月のハイライトと言って良かった織田記念の男子100mが終了した。
 リオ五輪男子4×100mリレー銀メダルメンバー同士の、山縣亮太(セイコー)とケンブリッジ飛鳥(Nike)が直接対決。勝負としては盛り上がったものの、記録は期待された9秒台に迫ることができなかった。その中でも2人とも、次に向けての収穫を得た。

 2018年陸上界最大の目標、4年に一度のアジア大会(8月にインドネシアのジャカルタ開催)の選考会である織田幹雄記念国際が4月28・29日の2日間行われた。この大会一番の話題は2日目の男子100m。地元広島出身の山縣亮太(セイコー)が10秒17で優勝し、ケンブリッジ飛鳥(Nike)が10秒26で2位。スタートから前半で山縣がリードを奪い、ケンブリッジも後半で追い上げを見せた。

 山縣の勝因の1つに、予選から決勝の間にスタートを修正したことが挙げられる。
「予選(10秒24)を走ってみて、スタートを抑えて出て後半に余力を残すレースをしても、同じくらいのタイムで終わると思いました。スタートから出てみてどうなるか見てみよう。(力を使っても)中盤の加速をしっかりしよう、とやってみました」
 昨年の日本選手権以降ずっと課題としていたスタートには成功し、ケンブリッジとの勝負を優位に運ぶことができた。
 ケンブリッジは敗因に「勝負というところで硬くなってしまった」ことを挙げた。その結果、得意とする後半で思ったように伸びなかった。
 その点は、山縣との勝負に負けたといえる。
 だが硬くなった要因は、自身がやりたい走りとのズレがあったこと。
 スターティングブロックに置く脚の位置を変更した(前脚は2目盛り後方にし、後ろ脚は1目盛り前にした)が、「まだまだですね。若干、体が浮いてしまって、地面に力を伝えられない」という。
 中間疾走中も腕振りと脚の回転のタイミングが、自身はできていると感じても、コーチから合っていないと指摘される。山縣との勝負に負けた一番の理由は、自身の走りの完成度の低さだった。
 それは山縣にも言えることだった。
 スタートとともに課題だった中盤以降の加速に関しては。手応えを得るまでに至っていない。2016年(リオ五輪準決勝で10秒05、全日本実業団陸上で10秒03)レベルには行ける感触はあるが、昨年の10秒00のときの中盤にはまだまだ遠いと感じている。
 結果として優勝記録は周囲の期待、山縣の走り終わったときの感覚を下回った。

 今後につながる部分として山縣は、予選から決勝の間にレースプランを変更し、しっかり実行できた点が挙げられる。これは山縣の武器の1つでラウンドを勝ち抜いたり、2本目以降のレースで記録を出せる理由になった。
 ケンブリッジは「走りの“ブレ”」があると、明確に認識できたことが次につながる。昨年も6月第1週の布勢スプリントで“ブレ”があることに気づき、3週間後の日本選手権までに修正してみせた。
「山縣さんの他にも桐生(祥秀・日本生命)君、多田(修平・関学大)君、ハキーム(・サニブラウン・フロリダ大)君と、レベルの高い選手がたくさんいる。今日の走りでは彼らにも勝てません」
 ケンブリッジは追い詰められた状況でも、メンタル的にまったく焦らない。だからこそ、お尻に火が点いたときのケンブリッジは怖い。
 山縣も「今日のレースを日本選手権でしたら勝てない」と危機感を露わにした。
「1試合1試合、修正していく必要がある」が、修正能力の正確さは歴代のスプリンターたちの中でもトップレベルという評価を得ている。

 次のアジア大会100m選考レースは5月20日のゴールデングランプリ。
 山縣、ケンブリッジに日本記録(9秒98)を昨年出した桐生、抜群のスタートダッシュを見せる多田が加わり、海外からは昨年の世界陸上金メダリストのジャスティン・ガトリン(米国)が参戦する。
 不完全燃焼だったファーストラウンドが起爆剤となり、セカンドラウンドは一気に燃え上がりそうだ。

ゴールデングランプリ陸上は
5月20日(日)午後3時からTBS系列で生中継です。

TEXT/photo by 寺田辰朗

#アジア大会 は8月ジャカルタ(インドネシア)開催
#東京五輪 前最後の総合競技会
#TBS で生中継

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