【アジア大会 初日8月19日(日)午後6時30分 TBS】

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【アジア大会 初日8月19日(日)午後6時30分 TBS】
《アジア大会の歴史的なシーン①》
伊東が10秒00。1998年バンコク大会に走った衝撃
それから20年。伊東に続いたアジア人9秒台の歴史

 バンコク大会の伊東浩司の快挙は、20年後の今年、9秒91のアジアタイ記録を出した蘇炳添(中国)の衝撃と似ているかもしれない。どちらも大幅な記録短縮だったのだ。
 伊東の10秒00は準決勝だった。決勝は10秒05で2位に0.26秒もの大差をつけた。
 アジア大会前の自己記録は10秒08(日本タイ記録)だった伊東は、当時の陸上競技マガジンの取材に次のようにコメントしている。
「今になれば、流してもったいなかったかなとも思いますけど、準決勝はラスト15~20mは流すと決めていたので後悔はありません。(中略)僕が9秒台のドアノブを引いた時に、誰か他の人が入ってしまうかもしれませんけど」
 伊東は元々200m・400mのロングスプリンターで、100mに関しては前年に10秒08を出した朝原宣治が9秒台を出すだろうと予測していた。そこを独特のユーモアも交えて語った伊東。アジアのスプリントに新たな時代を切り拓こうとしていた。

 4年に一度のアジア大会が8月、インドネシアのジャカルタで開催される。東京五輪前最後の総合競技会として重要度も、注目度も大きい大会だ。陸上競技の日本勢はアジアで勝つこと、あるいはレベルの高いアジア勢を相手にしっかりと戦うことが、来年のドーハ世界陸上、2020年の東京五輪へとつながっていく。
 そのアジア大会を面白く観戦するために、今の視点で見ても興味深い歴史的なシーンをピックアップして紹介していく。

 1990年代にも、中東諸国にアフリカ系選手はいた。94年広島大会ではT・マンスール(カタール。出身はアフリカではなくカタールと報じられた)が100mと200mで圧勝。伊東は20秒70で銀メダルだったが、20秒41(当時アジアタイ記録)のマンスールとは0秒29差があり、「とても勝てる相手ではない」と見ている側には感じられた。
 しかし伊東はそう考えなかった。94年は25歳となるシーズンだったが、その後の成長の加速に目を見張らされた。96年に20秒29と日本記録を更新。同年のアトランタ五輪準決勝では、決勝まであと2人と迫った。
 初動負荷理論にのっとったウエイトトレーニングなど、新しいスタイルを練習に取り入れ、肉体も動きもどんどん改良していった。そしてアジア大会金メダルと10秒00に到達したのである。

 アジア人初の9秒台は、アフリカ(ナイジェリア)出身のS・フランシス(カタール)がマークした。伊東の10秒00から9年後の2007年に9秒99を出したのである。
 2人目もナイジェリア出身のF・オグノデ(カタール)で、前回の仁川アジア大会で9秒93と一気に伸ばし、これも衝撃的だった。オグノデは翌2015年に9秒91と更新し、16年にも9秒91と9秒8台に近づいた。
 ただフランシスもオグノデも、ドーピング違反で出場停止を受けたことがある選手という点は極めて残念だった。

 アジア出身選手初の9秒台は蘇炳添で、2015年に9秒99を2度マークした。昨年9月には桐生祥秀(日本生命。当時東洋大)が9秒98、今年6月19日に謝震業(中国)が9秒97と0.01秒単位で記録を縮めた。蘇の力が謝よりもあるのは今季の戦績から明らかで、9秒95前後を出すことは予想できたが、謝の3日後に一気に9秒91まで縮めることは誰も予想できなかった。
 98年の伊東も今回の蘇も、自己記録の更新幅が0.08秒と一緒だった。29歳となるシーズンだったことも同じである。

 蘇は15年北京、昨年のロンドンと、世界陸上でも2大会連続決勝に進出した勝負強さも併せ持つ。今年のジャカルタ・アジア大会の優勝候補筆頭であるのは、衆目が一致するところだ。
 しかし山縣亮太(セイコー)にも、何かを起こすのでは、という期待を持てる。
 自己記録の10秒00は、昨年9月に桐生が9秒98を出した2週間後に出した。伊東と同じタイムだが、違いはそのタイムを出しても“上”が存在したこと。走り終えた直後の取材に山縣は、9秒8台への感触があったことを語っている。9秒8台なら、日本人初9秒台を上回るインパクトを与えられるとも考えた。
 山縣に期待できるもう1つの根拠は国際大会での強さ。ロンドン10秒07、リオ10秒05と2大会連続で五輪日本人最高を更新したように、大舞台で自己記録を出せる選手である。
 そして山縣のフォームは、伊東が目指していた動きでもある。伊東自身がそう話していたことがあった。
 20年前のバンコクの伊東と同様に、ジャカルタの山縣に自己記録大幅更新を期待できる材料は十分にある。

TEXT by 寺田辰朗
写真提供:フォート・キシモト

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