【アジア大会 8月18日開幕 TBS】

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【アジア大会 8月18日開幕 TBS】
《日中韓3カ国交流》
新井に復調の兆し、2年ぶりの1試合2回の80mスロー
アジア大会日本代表が多数出場。男子走幅跳は中国と前哨戦に

 日中韓3カ国交流は東アジアにおける陸上競技普及や3カ国の相互理解、国際競技力の向上などを目的に行われている。今年ホスト国の日本は、短距離・ハードルの主力選手はヨーロッパ遠征と重なってしまったが、男子棒高跳の山本聖途(トヨタ自動車)や男女やり投の新井涼平、斉藤真理菜(ともにスズキ浜松AC。表彰台のツーショット写真)ら、アジア大会でメダルが期待される選手も多数参加した。

 そのなかでもアジア大会に向けて一番の手応えを感じていたのが、男子やり投の新井だった。1投目の80m24で韓国勢を大きくリードすると、3投目に80m83の今季日本最高を投げて圧勝した。自己記録の86m83(日本歴代2位)にはまだ距離があるが、首を痛めたことによる昨シーズンの低迷を抜け出すプロセスは、しっかりと進めている。
「1投目は6割くらいに抑えて、技術を意識することを最優先した投げでした。上体が突っ込まない、(左側に)早く開かないという最低限のことはできたので80mを超えたのだと思います。ただ、その動きで固まってしまい、記録を伸ばすことができませんでした。まだ爆発力と言いますか、一瞬でやりに力を伝えるところがズレているのだと思います」
 それでも新井の表情が日本選手権(優勝したが77m88と記録が低調だった)よりも明るかったのは、3投目にも80m台を投げたからだ。

 新井本人は「1試合で2本投げたのはたぶん、2年ぶりくらいだと思います」とはっきり思い出せなかった。
 今年の80m台は6月第一週の田島記念で投げていたが(80m60)、全部で6回投げられる試技中1回目だけだった。
 昨年は首を痛めて80mを超えた試合自体が日本選手権だけ(82m13)。そのときも5投目の1回だけ。
 一昨年秋の国体(81m62)も2投目だけ。
 一昨年夏のリオ五輪予選は、その後の“1投だけ”とは状況が異なる。1投目で84m16と予選通過記録の83m00を超え、2投目以降の試技を行わなくて済んだ。これは高く評価されるべきことだが、結果として80m台は1投だけの形になった。
 新井が最後に2回以上80mを投げたのは84m54で優勝した2年前の日本選手権だった。
「今日2回80m台を投げられたことで、現状と課題がより明確にわかったので、次につながるステップにできました」

 アジア大会には今季87m43を投げているN・チョプラ(インド)や、昨年91m36のアジア新を投げた鄭兆村(チャイニーズ台北)ら、世界レベルの選手たちも出場する。アジアのやり投はメダルも簡単なことではないが、新井も「自分のアベレージも今日、一気に上がりました。このままやっていけば間に合う」と感触は良くなった。ジャカルタでは85m以上の投げ合いに加わりそうだ。

 男子棒高跳は山本が5m50で優勝し、日本選手権2位で初の代表入りを実現させた竹川倖生(法大3年)が5m40で2位。同時併催の南部忠平記念優勝の澤野大地(富士通)が5m60と、代表2人よりも高いバーを跳んだが、これはリオ五輪7位入賞の澤野が故障から復活してきたから。37歳の頑張りを称えるべきだろう。
 山本は5m70で優勝した日本選手権1週間後に、ダイヤモンドリーグ・パリ大会にも遠征。5m60とまずまずの結果を残したが、3週連続の試合で疲労が蓄積していた。その中で5m50は悪い結果ではない。5m60をパスして挑んだ5m70も、3回目は惜しい跳躍だった。
「アジア大会で金メダルを取って、来年のドーハ世界陸上で入賞、2020年の東京五輪でメダルを狙う階段を作っていきたい」
 竹川の5m40はセカンド記録タイ。竹川本人は「まとめきれなくても5m50は跳びたかった」と反省するが、5月の関東インカレで5m60を跳んだ大学3年生が代表入りしたことで、棒高跳は久しぶりにフレッシュな陣容で戦いを挑む。
 竹川は「いつも通りを出せれば」とメダルにこだわらない。「まず自分の力を出した上で、そこから修正をしていければ」と、関東インカレや日本選手権と同様に無欲のスタンスで臨む。

 アジア大会の前哨戦的な雰囲気になったのが男子走幅跳だった。
 中国が先月8m47のアジア歴代2位タイを跳んだ王嘉男、8m28の黄常洲と代表クラスを送り込んできた。今大会は気温など気象条件が悪く記録は全体的に低調だったが、走幅跳ではその2人がやはり力を発揮して1・2位を占めた。
 だがアジア大会日本代表の城山正太郎(ゼンリン)も7m72で優勝した黄から19cm差、王とは12cm差だった。城山本人は「アジア大会を考えたら、いつでも勝つくらいでないと」と悔しがったが、城山の自己記録が8m01ということを考えると善戦といえる。
「中国選手は骨格も違いますし、動きの違いも感じますが、真似をすることよりも、自分の跳躍を突き詰めて勝ちたい」
 自己記録は40cm以上の差でも、日中韓では20cm弱の差だった。ジャカルタで中国勢との差は、どうなっているだろうか。

 男子三段跳は日中韓交流大会では実施されず、同時併催の南部忠平記念の種目として行われた。日本記録(17m15)保持者の父・訓史さんに続いてアジア大会代表入りした山下航平(ANA)は、15m50と低調な記録で2位に終わった。
 優勝した日本選手権で確認できた課題に再度取り組み、完全な試合モードには入らずに出場したからだが、「体の状態は悪くないのですが、技術が噛み合わないところだらけ」と反省ばかりが口に出た。
 それでも日本選手権時に陸連科学委員会が測定したデータでは、助走スピードなど「(17m20~30を)跳ぶために欲しいと思っていた材料も揃ってきています」と、明るい要素も手中にできている。
 17m20~30をアジア大会本番で跳べば、1986年ソウル大会金メダリストの父親に続くことも可能になるが、山下自身は父親に続くという意識ではなく、「世界で戦うため」のステップとしてアジア大会を位置づけている。
 助走スピードは父親をはるかにしのぐ。そのスピードを武器に、アジアとどう戦うか。注目度はそちらの方が大きい。

TEXT/Photos by 寺田辰朗

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