【アジア大会 8月19日(日)午後6時30分 TBS】

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【アジア大会 8月19日(日)午後6時30分 TBS】
《アジア大会の歴史的なシーン③》
2年後に世界タイの劉翔と、2年後に日本新の谷川がワンツー
2002年釜山大会をステップにした日中のハードル・エース

 釜山大会男子110m障害では、2年後に12秒91の世界タイ記録(当時)をマークする劉翔(中国)と、やはり2年後に13秒39の日本記録(当時)を叩き出す谷川聡の日中ハードル・エースが対決。劉が13秒27の大会新で優勝したのに対し、谷川は13秒83で2位。
 現在筑波大監督の谷川は「ケガだらけでまともに走れたのは3~4試合しかなかったシーズンでしたね。アジア大会本番に合わせて結果を出すことだけを考えていましたが、劉翔とは勝負になりません。2位狙いでした」と当時を振り返っている。
 腰関節左側を中心に力が入らなくなる症状を抱え、山あり谷ありの競技生活を送った谷川が“谷”のシーズンを乗り切ったのが釜山アジア大会だった。

 4年に一度のアジア大会が8月、インドネシアのジャカルタで開催される。東京五輪前最後の総合競技会として重要度も、注目度も大きい大会だ。陸上競技の日本勢はアジアで勝つこと、あるいはレベルの高いアジア勢を相手にしっかりと戦うことが、来年のドーハ世界陸上、2020年の東京五輪へとつながっていく。
 そのアジア大会を面白く観戦するために、今の視点で見ても興味深い歴史的なシーンをピックアップして紹介していく。

 劉の2002年は19歳のシーズン。7月に現在も残るU20世界記録の13秒12を出していたが、スイス・ローザンヌの大会(現在はダイヤモンドリーグ)では、弱い選手が出場するBレースだった。
 釜山アジア大会優勝記録の13秒27は自身のセカンド記録で、シニア大会でも活躍し始めるきっかけになった。その後の劉は“アジアの昇り竜”と異名をとるようになる。
 翌2003年にはパリ世界陸上で銅メダルを獲得。そして2004年アテネ五輪で金メダルと12秒91の世界タイ記録を同時にゲットし、2006年には12秒88と、この種目初の12秒8台をマークする。中国スポーツ界のスーパースターへと成長していった。

 一方の谷川は2002年で30歳。1999年に13秒55の日本新をマークし、同年のセビリア世界陸上では準決勝に進出。日本の110m障害を過去最高レベルに押し上げた。
 2000年シドニー五輪、2001年エドモントン世界陸上でも代表入りしたが、シーズンベストは13秒66、13秒73と下降線を描いていた。2002年も9月の全日本実業団陸上の13秒78がシーズンベストで、13秒台は4試合しかなかった。
 その間に8歳年下の内藤真人が台頭。01年に13秒50と谷川の日本記録を更新し、釜山アジア大会翌年の03年には13秒47まで日本記録を縮めた選手である。その内藤が2002年はケガで日本選手権を欠場。谷川1人がアジア大会代表に選ばれていた。

 谷川は股関節の症状があった影響で、左大腿裏側を肉離れすることが多かった。それが国際大会で最も顕著に出てしまったのが、1998年のバンコク・アジア大会。予選2組を余力を持って1位で通過したが、決勝は「1台目までに症状が出たのに、下手にハードルを跳んでしまった」ために肉離れをして5位(14秒37)と大敗した。
 2002年シーズンも同じ箇所を肉離れしたが、なんとか調整して釜山大会に合わせることができた。予選は2組3位(14秒16)と不安を残す通過だったが、決勝は後に13秒48の韓国記録を出す朴泰硬、後に13秒19のアジア歴代2位を出す史冬鵬(中国)に競り勝った。
 タイムは13秒83と良くなかったが、故障がちのシーズンのなかでベストといえる結果を残した。翌年13秒60と記録的にも再上昇に転じ、2004年アテネ五輪の13秒39&日本記録奪回につなげていった。
 釜山大会の劉と谷川は、レベルの差こそ開いてしまったが、2年後のアテネ五輪につながるアジア大会とした点は共通していた。

 今年谷川が持っていた110m障害の日本記録を、14年ぶりに更新したのが22歳の金井大旺(福井県スポーツ協会)である。日本選手権で出した13秒36は、7月19日時点で今季アジアリスト・トップタイ。アジア歴代では5位タイのタイムである。
 中国の現在のエースは28歳の謝文駿で、4年前の仁川アジア大会金メダリストだ。その年に出した自己記録の13秒23(アジア歴代3位)は日本記録を0.13秒も上回っているが、今季は13秒53がシーズンベストにとどまっている。
 現在の日中両国のエースが置かれている状況は、2002年当時とは対照的なのだ。
 金井と謝のジャカルタの戦いは、16年前と比較するといっそう興味深くなる。

TEXT by 寺田辰朗
写真提供:フォート・キシモト
【8/19-30 TBS系列連日生中継】

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