【セイコーGGP 19日(日)午後1時30分 TBS系列】

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【セイコーGGP 19日(日)午後1時30分 TBS系列】
《ゴールデングランプリ2019注目のアスリート》
TEXT by 寺田辰朗
北口が2週間前に64m36の日本新。世界陸上ドーハ標準記録を突破
3年前、リオ五輪標準記録に迫ったときとの違いとは?

 女子やり投の北口榛花(日大4年)の投てきを、今年のゴールデングランプリでは見逃さないようにしたい。5月6日の木南記念で64m36の日本新をマーク。今季世界6位の快投で、世界陸上ドーハ大会の61m50と、来年の東京五輪の64m00、2大会の標準記録を同時に突破した。その会場がゴールデングランプリと同じヤンマースタジアム長居だった。
 15年の世界ユース(現U18世界陸上)で優勝した北口が、16年に61m38を投げた後は自己記録を更新できず、日本選手権など重要な試合で負けるシーンが多くなった。外国選手も出場するゴールデングランプリで再び大アーチを放ち、世界で戦う状態が整ったことをアピールしたい。

●3年前、大学1年時の自己記録
 北口が自己記録の61m38を超えたのは木南記念の4回目だった。60mラインを大きくオーバーし、63m58の日本歴代2位が記録板に表示された。
「助走の(やりの)保持走のところで向かい風を感じましたが、体を進めることに意識をおいて投げられました。先週の織田記念と違って、綺麗にやりを投げ出すことができたんです」
 投げた後に嬉しそうな表情を見せた北口だったが、「色々足りない」と気を引き締め直した。
「日本記録(63m80)も東京五輪の標準記録(64m00)も。リオ五輪のときも、あと少しが足りずに終わってしまいました。(4投目でできたことが)もう一度できたら、記録はもっと伸ばせる」
 2016年5月のゴールデングランプリの3回目に、61m38の当時の自己記録(U20日本記録)を投げた。北口はその前年、高校3年時に世界ユースで金メダリストとなり、そのシーズンに58m90の高校新をマークしていた。
 リオ五輪の標準記録は62m00。大学生になって1カ月少しで、あと62cmに迫った。だがゴールデングランプリの4回目は56m26で、5・6回目は連続ファウル。自己記録を1m50伸ばしたのは良かったが、その投てきを再現することができなかった。
 自己新記録は良かったが、リオ五輪標準記録が目の前になったことで、結果的に頑張りすぎてしまった。それが故障にもつながった。
 大学2年時には61m07、3年時には60m48。自己記録から1m以内のシーズンベストは残したが、国内大会でも勝負どころで敗れて世界陸上やアジア大会の代表を逃した。
「色々あって、どうしたらいいのかわからなくなっていました。一番ひどかったのは昨年の日本選手権(12位・49m58)前でした。ご飯を食べられなくなって、体重が5kg減りました」
 斉藤真理菜(スズキ浜松AC)が好調だったこともあり、北口の存在感が大学2年、3年と薄くなっていたのは事実である。

●自ら行動を起こして身につけた強さ
 だが北口は、そこで覚悟を決められた。
 日大は女子選手が少ないが、この冬は混成競技ブロックの男子選手と同じトレーニングを行った。下半身を狙い通りに動かせるように改善することが目的だった。
「それまでも先生方からは声をかけられていたんですが、2年間逃げ回っていました。種目数が多くて、永遠にやり続けるようなトレーニングなんです。でも、去年は記録が出なくて、もう笑ってごまかすことができる状況ではありませんでした。自分の(特長である)振り切りに頼った投げだけでは限界があります」
 北口の武器は関節周りが柔軟で可動域が大きいことと、日本の女子では恵まれた体格を生かした振り切りの強さだった。
 この冬は2月から3月にかけて約1カ月、やり投の男女世界記録保持者を生んだチェコでトレーニングを行った。チェコは以前から憧れていた国。他人がセッティングしたものではなく、北口自身がやり投の技術会議でチェコのナショナル・ジュニアコーチと接触し、練習参加を自身で交渉した。
 助走歩数を2歩増やし、やりの引き方をチェコ選手がよく行う一度サイドで下げる方法に変更した。下半身を動かすためのトレーニングも、チェコでも継続した。
 木南記念の4回目(63m58)は向かい風でも助走でしっかりと脚を動かすことができた。大学1年時の自己記録の時より大きい2m以上の更新だった。3年前の自己新後の試技は記録が大きく下がったが、木南記念は5回目も同じように「意識的に前に進む」助走ができて、さらに78cm記録を伸ばした。
 再現性が高くなったのは、人に頼らず自ら行動を起こし、その結果身につけた強さだったからではないか。
 北口の64m36は昨年の世界リストなら12位に相当する。17年なら15位、16年なら13位だ。世界陸上本番で自己記録を投げられれば今のレベルでも入賞できるが、世界大会本番でそこを期待するのも酷だろう(ただ、世界ユースではその部分をやってのけた)。
 北口は「次は65m」を目標に掲げた。3年前とは違って、そのためにやるべきことが見えている。その第一歩がゴールデングランプリである。

写真提供:フォート・キシモト
北口選手が出場する女子やり投げは
動画配信サービス「paravi」でLIVE配信します

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