【プリンセス駅伝 21日(日)ひる11時50分 TBS】

【プリンセス駅伝 21日(日)ひる11時50分 TBS】
女子駅伝日本一決定戦『クイーンズ駅伝』への
出場権を賭けた全国統一予選会『プリンセス駅伝』
27チーム中上位14チームが日本一決定戦へ❗️

《プリンセス駅伝2018を面白く見る視点③》
初出場の埼玉医科大学グループと岩谷産業
ぎりぎりの6人でも、積極的な走りが期待できる理由とは?

 埼玉医科大学グループと岩谷産業、創部2年目の2チームがプリンセス駅伝に初出場する。実質的な選手数は両チームとも6人しかいない。実業団女子の駅伝は6区間、1人でもケガ人などが出たら欠場になる。選手たちの記録を見ても、クイーンズ駅伝への壁はかなり高いだろう。それでも女子駅伝のニューフェイスたちは、クイーンズ駅伝出場を目指す。

●赤坂が全日本実業団陸上で力走
 9月の全日本実業団陸上初日の女子10000m第1組。赤坂よもぎ(埼玉医科大学グループ)が積極的にレースを引っ張った。33分39秒93で4位。その組トップの池田絵里香(肥後銀行)には4秒59差をつけられたが、赤坂の力強い走りが“埼玉医科大学グループ”という見慣れないチーム名とともに印象に残った。
「本当は自己記録(33分04秒20)を出したかったのですが、気候やレース展開もあってタイムを狙うことはできませんでした。でも走った中で手応えは感じられました。駅伝に向けてはここからが本番です。(6人)ぴったりの人数でやっているので、チーム全員が頑張らないといけません」
 赤坂は昨年の全日本大学女子駅伝優勝の名城大で、キャプテンを務めていた選手。実業団駅伝の上位チームに入社することもできただろう。
「高校が自分たちで作っていくチームで、力はなかったんですけど、だんだん上げていって(神奈川県で上位に入り)関東大会まで出ることができたんです。大学は元々、全日本で優勝したこともあったチームでした。どっちが自分に合っているかな、と考えて、自分たちで作っていく、こうしていこうよ、というチームが自分に合っているかな、と。大学の監督もここを推してくれました。高校も大学も今、自分がここにいることにつながっています。社会的なスキルを身につけることもできると思って決めました」

●「不可能を可能にしよう」
 埼玉医科大学グループは埼玉県入間郡毛呂山町にあり、昨年陸上部を創設した。女子駅伝チームの他に男子駅伝チームもあり、トラック&フィールド種目の選手も数人在籍する。
 選手たちは、大学や病院で事務(人事部・経理部・総務部など)を行い、遠征や合宿以外の平日は8:30から14:00まで勤務する。これまでは病院の寮に住んでいたが、陸上部用の寮も新築された。
「仕事もかなりしていますが、合宿も月に1回くらいの頻度で行かせてもらっています」
 監督は山梨学大出身の篠原祐太氏。箱根駅伝7区を3年時に走ったが、卒業後は一般企業で4年間働いていた。15年から城西大女子長距離コーチにつき、昨年埼玉医科大学グループの陸上競技部発足とともに監督に就任した。
 山梨学大4年時にはキャプテンだったが、箱根駅伝予選会は自身は故障のため途中棄権。本大会に出られなかった。だが14年アジア大会マラソン銀メダルの松村康平(現MHPS)、2区区間記録保持者のメクボ・ジョブ・モグス、12年ニューイヤー駅伝5区区間賞の高瀬無量(現日清食品グループ)ら、力のある後輩たちをまとめ、チームは箱根駅伝6位の好成績を収めた。華やかな戦績はないが、多くの経験を積んできた人物だ。
 チームの戦力はどうか。
 2年目の今年、新人の赤坂と福居紗希が柱になっている。福居は昨年のユニバーシアード・ハーフマラソン3位で、10000mでも32分38秒29のタイムを持つ。この2人で1・3区を担うと思われる。
 赤坂は「(全日本実業団陸上の)ジュニア3000mに出た子もいますし、先輩で長い距離が強い方もいます。5000m向きの選手もいますよ」と、チームメイトたちの特徴を話した。
 クイーンズ駅伝出場権を得られる14位に入るのは、ただでさえ難しいと言われている駅伝である。初出場チームが壁を突破するのは簡単ではない。
「入社するときに監督から、『大半の人が無理というかもしれないけど、不可能を可能にしよう』という言葉をかけてもらいました。初めての実業団駅伝で何もわかりませんが、クイーンズ駅伝に行くことを目標にしています」
 赤坂の明るい話し方とポジティブな考え方は、チームの姿勢の現れだろう。全日本実業団陸上の赤坂のような積極的な走りが、駅伝でも期待できそうだ。

●金メダリストを育てた監督
 昨年創部した岩谷産業は、アテネ五輪マラソン金メダリストの野口みずきを指導した廣瀬永和氏を監督に招聘した。
 高卒3年目(活動を停止したユタカ技研を経て昨年入社)の高野智声が、今年4月に10000mで32分25秒86と日本選手権の標準記録を突破。2年目の大同美空も7月に32分53秒96で走り、チームに柱ができ始めた。
 実業団で活動した後に市民ランナーだった今田麻里絵も、昨年の創部と同時に加入。ハーフマラソン、マラソン向きの選手だが、7月のホクレンDistance Challenge深川大会では10000mで、B組ではあるがトップをとっている。
 だが、エース格の高野が9月末に事故に遭って戦線離脱。プリンセス駅伝は補欠ゼロのメンバーで臨むことになった。大同と今田はチームの柱ではあるが、プリンセス駅伝で区間ヒト桁順位で走ることができるか、ぎりぎりのところだろう。埼玉医科大学グループの赤坂や福居も同様だ。
「クイーンズ駅伝出場が厳しいのは百も承知ですが、やってみないことにはわかりません。そこはチャレンジしたい」と廣瀬監督。
 野口だけでなく、指導に携わった何人もの選手を世界に送り出してきた指導者は、どんな心境で駅伝を戦うのだろうか。
「僕自身、駅伝は5年ぶりになります。指導者としてはもう少し力をつけてから臨みたいのですが、“今年は駅伝に出たい”という選手たちの思いがあります。今回は結果ではなく、選手1人1人が駅伝になったときに、どう力を発揮できるか。そこが来年以降の成長につながればいいな、と思っています」
 大同は福井・敦賀高の出身。インターハイ北信越大会を突破することはできなかったが、その走りを見た廣瀬監督が「手脚が長く、面白そうな選手だな」と思って声をかけた。話をするとしっかりした考えを持ち、新しいチームで活動することに意欲を示した。
 野口も高校時代は無名選手だった。実業団に入った後に大きく成長し、多くの試練を乗り越えて金メダリストになった。選手が成長するタイミングは千差万別。能力を持ちながら発揮できていない選手が、どこにいるかはわからない。それを発掘する1つのツールが駅伝である。
 廣瀬監督は駅伝に精一杯取り組む中で、きらりと光る素材を見逃さない。その最初の大会が、今年のプリンセス駅伝だ。

TEXT by 寺田達朗
【TBS系列生中継】

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