【世界リレー 今夜6時30分】

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【世界リレー 今夜6時30分】
TEXT by 寺田辰朗
<世界リレー2019横浜初日>
新種目の男女混合シャトルハードルリレーと男女混合2×2×400mリレーでメダル獲得
女子4×400mリレーはB決勝で世界陸上出場資格獲得に挑戦
 大会初日にメダル2個を獲得と、地元開催の世界リレーで日本が存在感を示した。
 リレー種目だけの世界大会(国際陸連主催)である世界リレー2019横浜が、横浜市の日産スタジアムで開幕。2日間にわたって行われる大会の初日が5月11日に行われ、日本は新種目の男女混合シャトルハードルリレーで銀メダルを、同じく新種目の男女混合2×2×400mリレーで銅メダルを獲得した。
 男女混合4×400mリレーはB決勝が行われないため全体11番目のタイムで予選落ちとなったが、上位12カ国に与えられる世界陸上ドーハ(9月開幕)出場資格を獲得した。
女子4×400mRは全体16番目のタイムでB決勝に進んだ。B決勝で2位以内に入れば世界陸上出場資格を得られる。
 4×400mリレー2種目に出場した青山聖佳(大阪成蹊AC)は、U20の頃にアジア大会
と世界陸上代表を経験した選手。競技をやめるかという状況まで落ち込んだが、完全復活間近を思わせる活躍を続けている。12日の4×400mリレーB決勝で、どんな走りを見せてくれるだろうか。

●2つの新種目で見せた日本の戦術とは?
 日本のメダル第1号は、新種目の男女混合2×2×400mリレーだった。
 日本は1走と3走を女子の塩見綾乃(立命大)が、2走と4走を男子のクレイアーロン竜波(相洋高)が走った。大会速報用記録システム表示のラップタイムは57秒3―50秒6―60秒4―50秒0。4走のアーロン竜波がケニア(フィニッシュ後に失格)を抜き、銅メダルを獲得した。
 ペース配分や、一緒に走っているチームとの位置取りなど、多くの要素が複雑に影響する種目。2走のアーロン竜波は1本目を48秒台で走ることも考えていたが、バックストレートで自身の調子などから、「2本目を走れるように」と切り換えた。
 結果的に2走のタイムを抑えることで女子の休憩時間が長くなり、女子の塩見は1本目を速く入って2本目が遅くなったことで、男子のアーロン竜波の休憩時間も長くなった。戦術的には後半追い上げ型になって、最後に順位を上げることに成功した。
 塩見は「最初は怖さも感じていました」と明かす。「でも会場の雰囲気も良くて、自分の走りに集中することができました。3位になれたのはアーロン君のおかげ。走り終わって、今まで経験したことないような疲れを感じていますが、またこの種目が行われたら走ってみたいですね」
 アーロン竜波は「走ってみたらやっぱりキツかった」としながらも、「最後はとにかく腕を振って順位を上げに行きました」と、充実感を漂わせた。
 もう1つの新種目のシャトルハードルリレーでも、日本が銀メダルを獲得した。
 1走から木村文子(エディオン)、髙山峻野(ゼンリン)、青木益未(七十七銀行)、
金井大旺(ミズノ)の走順で、予選1組を2位、56秒13のタイムで通過した。
 決勝はジャマイカが棄権し、豪州が失格となって米国と日本の2チームだけのレースに。
木村が米国のクリスティナ・マニング(自己記録12秒54)と僅差で2走に引き継ぐと、
髙山が引き継ぎ部分(前走者のフィニッシュを見てスタートする部分)でリード。13秒27
と日本記録(13秒36)を上回る記録を持つフレディー・クリッテンデンに先行した。
 3走の青木も予選より格段に良いスタートを見せたが、米国は12秒34を持つシェリカ・
ネルビスで逆転を許した。アンカーの4走も米国は13秒03を持つデボン・アレンで、日本
記録保持者の金井もどうしようもなく、55秒59の2位という結果に。
 それでも、ハードルの選手層では世界ナンバーワンの米国に、4人で0.63秒差だったの

は間違いなく健闘だろう。
 2走の髙山は引き継ぎ部分に工夫を凝らしたという。
「最初はフライングをしないことだけに神経を遣っていましたが、予選を走って、もう少
し攻めて出ても大丈夫だとわかりました」
 3走の青木は「予選は完全に『タカヤマ』と思ってから出ましたが、それでは遅かったので、決勝は『タカヤマの“タ”』で出ました」と笑顔で話した。
 初めて実施される2種目だったが、地元の日本が両種目ともしっかりと対策を考えてメダルをゲットした。それでも戦術的には、まだ向上の余地がある。今後も続けられるとすれば、日本がお家芸とできる種目かもしれない。

●青山が1日2本の出場
 青山聖佳は大会初日に2回トラックに立った。1本目が19:16にスタートした女子4×400mリレー予選2組の1走、2本目は21:52の男女混合4×400mリレー予選1組の2走で、それぞれ400mを走った。
 青山の1本目は53秒0のラップ(筆者の手動による計測)。5~6番手あたりで2走の松本奈菜子にバトンを渡した。
「1走ということで、あとの2~4走に流れをつくる走りをしたかったのですが、置いていかれてしまいました。あまり役割を果たせたとはいえない走りです。悔しい結果になってしまいました」
 しかし53秒0は日本の女子選手の1走としては好タイムで、青山の走りがあったからポツンと置いて行かれることなく、2走以下も5~6位争いを展開した。最後は7位に落ちたが3分31秒72と、昨年のアジア大会(3分34秒14=4位)、今年4月のアジア選手権(3分34秒88=銅メダル)を記録的には大きく上回った。
 予選全体で17番目の記録だったが、その後3組で1番先にフィニッシュしたウクライナが失格になった。その結果、A決勝進出以外のチームでぎりぎり8番目に繰り上がり、B決勝進出が決まった。厳しい戦いが予想されるが、B決勝で2位以内に入れば世界陸上ドーハ出場資格を得られる。
 2時間半後の男女混合4×400mリレーは52秒8のラップ。2走以降は計測スタート地点で10mの助走が付いているので、1走よりもタイムは上がる。やはり2本目ということで疲れが影響したようだ。
「こういった大舞台で2本走ることができ、すごく嬉しかった。ただ、せっかく1走の伊東(利来也・早大)君が良い位置で持ってきたのに、私が前との差を広げられてしまって申し訳ない気持ちです」
 女子4×400mリレーが予選2組で最下位(7位)だったように、男女混合4×400mリレーも予選3組で最下位(5位)。順位を見れば自身の走りに不満が残ったのは当然だろう。だが、混合の3分19秒71は歴史が浅い種目とはいえ日本最高記録で、前述のように世界陸上出場資格獲得に成功した。

●“大人の青山”として復活間近
 青山は高校3年時の仁川アジア大会と、大学1年時の世界陸上北京大会の代表だった。
北京世界陸上では女子4×400mリレーが3分28秒91の日本記録を出した。青山は1走で52秒8のラップで走っている。
 ところが大学2年で52秒85の自己記録(日本歴代3位)を出したところまでは良かったが、大学3年の6月から記録が低迷し、4年時(2018年)のシーズンベストは55秒52。昨年の10月までは陸上競技をやめようと考えていたという。
「去年はスタートラインに着いたときにもう、帰りたいと思っていました。それが10月の国体くらいから可能性を感じられるようになって、練習でも少しずつ、しっかりと走れるようになりました。自信も出てきて、冬期のナショナルチームのきつい練習でも走れたのが良かったですね」
 高校の頃を「勢いでしか走っていなかった」と振り返る。練習さえしていれば、記録がついてきたという。それが最近は「自分で考えられるようになった」と話す。
「お尻やハムストリング(大腿裏)を意識して使えるようになりました。この走りなら、ここをこうすれば修正できるとわかってきたんです。色んな感覚が出てきて、走りに結びつけ方がわかって、陸上競技が楽しく感じられるようになりました」
 12日の女子4×400mリレー決勝でも1走起用が予想される。予選のタイムは8チーム中一番下だが、一番上のチームでも3分30秒07で日本との差は1秒65である。2位に入る可能性は十分にあり、そのためにも青山が1走で上位争いに加わる必要がある。
 B決勝の1走のレベルを予測することは難しいが、今の青山なら52秒台後半は期待でき
る。そのタイムならばおそらく、日本チームを良い流れに乗せられるだろう。B決勝2位以内での世界陸上出場資格獲得は、決して夢物語ではない。

写真提供:フォート・キシモト
【TBS系列生中継】

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