【世界陸上北京8月22日開幕】

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【世界陸上北京8月22日開幕】
<日本選手権を面白く見る8つの視点①>
絶好調の高瀬、末續以来のショートスプリント2冠なるか

 高瀬慧(富士通)が2003年の末續慎吾(ミズノ)以来のショートスプリント2冠に挑む。100 mではゴールデングランプリ川崎に10秒09で走り、現時点ではただ1人の標準記録(※1)突破者。200 mも20秒14の日本歴代2位と、派遣設定記録(※2)をただ1人破っている。
 だが、200 mでは29歳の藤光謙司(ゼンリン)も負けず劣らず好調だ。標準記録突破回数5回の安定感が武器だが、20秒33の自己記録を一気に伸ばしてくる兆しがある。
 また、100 mでは桐生祥秀(東洋大)はケガのため欠場するが、ケンブリッジ飛鳥(日大)と長田拓也(法大)の学生コンビが高瀬に迫る勢いを見せている。
※1 標準記録は国際陸連が定めた世界陸上出場の資格記録。2年前のモスクワ大会まではAB2つがあったが、今年の北京大会から1本化された。標準記録を破っている選手が1種目最大、1国3人まで出場できる
※2 派遣設定記録は日本陸連が設定した記録で、1国3名までのカウントで作った世界ランキング12位を目安とし、標準記録よりも高いレベルになっている

 過去の日本選手権男子100 m&200 mの2冠は意外と少なく、末續の前は1979年(豊田敏夫・新日鉄八幡)までさかのぼらないといけない。2003年の末續はそのシーズンの世界陸上200 mで銅メダルと、日本の短距離史上最高の成績を収めた。200 mの日本記録(20秒03)も、その日本選手権で樹立している。
 高瀬本人からも、指導する順大の佐久間和彦コーチからも、末續の功績を高く評価するコメントを多く聞かれるようになっている。高瀬は「日本選手権で2種目を勝つくらいでないと、世界では勝負にならない」と、世界陸上で戦うためのステップと位置づけて臨む。
 昨年のアジア大会は故障欠場した桐生の代役として100 mに出場し、準決勝で10秒13の自己タイ(当時)、決勝で銅メダルと予想以上の走りを見せた。メンタルトレーニングなども取り入れ、国際舞台でもライバルの走りに惑わされなくなったという。
 アジア大会で銀メダルの蘇炳添(中国)には、今年5月のゴールデングランプリ川崎で雪辱。その蘇が5月末には米国で9秒99をマークした。高瀬にとって最重要種目は200 mだが「19秒台を出そうと思ったら、100 mの9秒台も自然に出ると思います」と、20秒00も10秒00も“壁”と感じていない。

 対する藤光も手応え十分の様子。今季は技術的な部分が「もやもやした走り」が続いているが、それでもゴールデングランプリ川崎では20秒33と5年ぶりに自己記録を更新して優勝した。東日本実業団でも「完全に前半を捨てていた」と言いながらも、後半は高瀬(20秒14)に食い下がって20秒35と予想以上のタイム。
 安井年文コーチが「あまり大きなことを言わない藤光が、日本記録や19秒台も自然と口にするようになった」と変化を認めている。
 高瀬とは対照的に、「日本選手権にガチガチに合わせるのでなく、現段階でどのくらい走れるのかを確認するくらいの気持ち」と、テンションは抑えめで臨む。
 それでも「高瀬と高いレベルの争いになる。世界陸上の準決勝を勝ち抜くためのステップとなる走りにしたい」と、高瀬と同じように日本選手権を位置づける。

 レースは東日本実業団と同様に前半で高瀬が先行する可能性が高いが、直線に出てからは日本の短距離史上に残るデッドヒートが展開しそうだ。という話を藤光にすると、「意表を突いて、僕が前半から前を走るかもしれませんよ」、と不敵に笑った。
「そう簡単に高瀬に2冠はさせません」
 飄々と話すベテランも、内なる闘争心に火が点いている。
【すべてが"つながる"瞬間がある】
#世界陸上 #日本選手権 #高瀬慧
text by 寺田辰朗

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