【世界陸上北京8月22日開幕】

765566c80af6713e35e4

【世界陸上北京8月22日開幕】
<日本選手権を面白く見る8つの視点⑥>
標準記録一本化の影響は? 複数突破の可能性が大きくなった種目と、標準記録が遠くなった種目

 国際陸連が設定する標準記録が、今年の北京世界陸上から1本化された。標準記録突破は世界陸上に参加する前提条件で、1つの国で複数選手が破った場合、1種目最大3人までが出場できる。前回の2013年モスクワ大会まではAとBの2つの標準記録が設けられ、Aを突破すれば3人までが出場できたが、Bの場合は1人しか出られないシステムだった(五輪も同様)。1本化されたことで、日本選手権の戦いにどんな影響が出るのだろうか?

 大半の種目の標準記録は、モスクワ世界陸上のAとBの中間に設定された。2人以上の候補選手がいる種目は、A標準が引き下げられた、と受け取ることができ、その恩恵を受けると思われたのが、男子棒高跳とやり投だ。
 棒高跳は現時点で荻田大樹(ミズノ)と山本聖途(トヨタ自動車)の2人が5m65の標準記録を破っているが、モスクワ大会のようにAが5m70、Bが5m60であればB標準が2人ということになり、でどちらか1人しか世界陸上には出られなかった。
 日本選手権では必要以上に勝負に固執しなくてすむため、高さへの挑戦が、イコール勝負ということになる。どんどんバーを上げていくだろう。
 日本記録(5m83)保持者の澤野大地(富士通)が、昨秋の肉離れの影響で今季は5m35と出おくれている。澤野が日本選手権に間に合って標準記録を跳ぶことができれば、前回のモスクワ大会と同様に3人の代表派遣が可能となる。

 男子やり投は昨秋86m83の日本歴代2位を投げた新井涼平(スズキ浜松AC)が、標準記録を大きく破っている。腰痛とその影響で日本選手権が2カ月半ぶりの試合となるが、日本陸連が設けた派遣設定記録の84m32も超えているので、8位以内に入れば代表に決定する(派遣設定記録突破者が1人の場合)。
 やり投はモスクワのA標準は83m50だったが、北京の標準記録は82m00に。間口は広がったはずだったが、現時点での突破者は新井1人。日本選手権での焦点は、新井以外が標準記録を破るかどうか。
 村上幸史(同)は冬期の故障で本格トレーニング開始が遅れていたが、アジア選手権で79m05の3位と状態を上げてきた。ロンドン五輪代表だったディーン元気(ミズノ)も復活を期している。複数代表を送り込みたい種目である。

 男子400 mHは、モスクワ世界陸上前にはA標準の49秒40を3人が破っていた種目。結果的に日本選手権の順位で、AABの3人が世界陸上に出場した。北京は標準記録が49秒50に下がったにもかかわらず、現時点で突破者はゼロ。
 6月上旬のアジア選手権で小西勇太(住友電工)が優勝し、標準記録突破と同資格を得た。代表派遣が途切れることは(ほぼ)なくなったが、09年ベルリン世界陸上で準決勝に進んだ吉田和晃(大阪ガス)や、ケガで出遅れていた岸本鷹幸(富士通)が復調すれば、日本選手権で49秒50を何人も突破することも期待できる。

 以上の種目とは対照的に、B標準がなくなったことで標準記録が“上がってしまった”種目も多い。例えば女子100 mHでは、モスクワのB標準は13秒10だったが北京の標準記録は13秒00に。日本記録とまったく同じタイムになった。
 ただ、木村文子(エディオン)と紫村仁美(佐賀陸協)の2人は、2年前に13秒0台を出している。日本選手権で日本新を出せば、同時に標準記録も突破することになり、優勝者はその場で代表入りが決まる。標準記録が“上がってしまった”ことを、モチベーションにできる状況だ。
 女子100 mH以外にも、モスクワ世界陸上では代表を送り込みながら、現時点で標準記録を突破できていない種目が男子の400 mとハンマー投、女子では400 mHと走高跳。年齢的なピークや故障などの事情で日本の有力選手が活躍できていないからだが、男子400 mは45秒50、女子400 mHは56秒20と標準記録自体は決して高くない。
 選手たちも、最後まであきらめない姿勢を示している。日本選手権での標準記録挑戦に、いろいろなドラマが隠されているはずだ。
【すべてが“つながる”瞬間がある】
#日本選手権 #世界陸上 #標準記録
TEXT by 寺田辰朗

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)