【世界陸上北京8月22日開幕】

236a6880a518036f25b8

【世界陸上北京8月22日開幕】
<北京世界陸上への“つながり”@日本選手権3日目(最終日)>
昨年の日本歴代2位を、世界陸上で日本記録につなげたいやり投の新井

 昨年86m83の日本歴代2位と、日本記録の87m60に迫った新井涼平(スズキ浜松AC)。昨年の歴代2位を、今季は日本記録に“つなげる”つもりだった。
 だが、2月の南アフリカ合宿での食あたりや、4月の故障の影響で今季は1試合のみの出場(78m95)で日本選手権を迎えていた。日本選手権も5投目までは70m台と糸口がつかめなかったが、6投目に84m13の大会新、世界陸上でも入賞が期待できるアーチを架けてみせたのだ。
「今日の流れでいけば日本記録近くは投げられます。世界陸上で日本記録なら、上位入賞もできる」
 投てきの新エースが北京へ向けて発進した。

 つまずき初めは、同学年のディーン元気(ミズノ)と行っている恒例の南アフリカ合宿だった。ここ数年、やり投王国フィンランド・チームのキャンプに2人で参加し、技術的にもモチベーション的にも大きな刺激を受けてきた。
 ところが今年は現地で食あたりになり、何も食べられない状態になってしまった。3週間の予定を2週間にして帰国したが、体重は5kg減を強いられた。ただ、練習は間もなく再開でき、4月第一週の国士大競技会では78m95をマークした。
 しかし今度は、南アフリカに行く前からおかしかった腰をかばった影響か、左の脇腹、そして左足首と痛みが続発。クロス(助走の最後の数歩)の最後で「踏み込み切れていない。右脚から左脚への重心移動の仕方を変えよう」と新たな技術に取り組んだ負担もあったかもしれない。4月の織田記念、5月のゴールデングランプリ川崎と欠場を余儀なくされた。

 投てき練習を再開できたのは日本選手権の3週間前だったという。
「(初歩的なメニューの)突き刺しから始めましたが、日本選手権には実際、間に合いませんでした。3投目が終わったときは(76m82で)、今シーズンはこの程度に終始してしまうのか、と」
 5投目には投てき順が先の村上幸史(スズキ浜松AC)に77m84で逆転されてしまう。
 新井の窮地を救ったのは、他ならぬスズキ浜松ACの“つながり”だった。大会初日には、尊敬してやまない海老原有希(スズキ浜松AC)が優勝して代表第一号を決めていた。
「海老原さんから『私はやることやったから』と言われたんです。オマエも優勝して代表を決めてこい、と言われたのだと思いました」

 技術的なヒントを得たのも、先輩の村上からだった。逆転された村上の5回目の試技を見て、「あの低さで投げれば風の影響を受けにくいのだとわかった」という。自身の投てきに不安も感じていたが、修正できる手応えも持っていたのだ。
「5投目でしっかりと振り切ることができ、6投目はさらに、左半身で壁を作るところで、上手くタメを作ることができました」
 最終試技で5m近く記録を伸ばすサプライズ投てき。練習段階では技術を間に合わせられなかったと感じていたが、「試合の中で修正できたことが大きな収穫」と喜んだ。

 記録的も自己記録に2m70と迫り、昨年成長したことを今年の日本記録に“つなげる”ステップになりそうだ。
 だが、新井自身はその見方を否定する。
「まだ、つながりそうな感じはしません。6投目の84m13は技術が定着したと言うよりも、テンションが高くなったことで投げられた側面も強かった。このくらいの記録を連発して初めて、技術が定着したといえます。明日の練習からがスタートです」
 日本歴代2位を日本記録につなげる。来季に先送りする可能性のあった課題に、新井が取り組む決意を強くした日本選手権となった。
【すべてが“つながる”瞬間がある】
#日本選手権 #世界陸上
TEXT by 寺田辰朗

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)