【明日午後1時30分TBS系列生中継】

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【明日午後1時30分TBS系列生中継】
《ゴールデングランプリ2019ハードル種目の見どころは?》
TEXT by 寺田辰朗
金メダリスト2人が出場するハードル種目
日本勢は日本記録更新や標準記録突破のチャンス

 今年のハードル種目は男女で見どころが異なる。女子の100mハードルにはS・ピアソン(豪州)、400mハードルにはD・ムハンマド(米国)と金メダリスト2人が参戦。他のメンバーもハイレベルで、世界レベルのハードリングを目の当たりにできる。男子は外国勢と日本選手のレベルが接近している。日本選手が簡単には勝てないが、最高のパフォーマンスができれば勝機がありそうだ。女子の100mハードルには日本記録と世界陸上ドーハ標準記録突破の、男子110mハードルと400mハードルも標準記録突破のチャンスである。

●ムハンマドは世界陸上ドーハの金メダル最有力候補
 女子400mハードルのムハンマドは、9月開幕の世界陸上ドーハでも金メダル候補筆頭に挙げられそうだ。その実力を、日本の陸上ファンはひと足早く目撃できる。
 この種目で超一流の証である52秒台を、ムハンマドは16年、17年と2レースでマークしている(ともに全米選手権)。16年はリオ五輪金メダルを、17年はロンドン世界陸上銀メダルを獲得した。
 昨年は53秒65と全開のシーズンではなかったが、今季は5月のダイヤモンドリーグ・ドーハ大会で53秒61(優勝)と、早くも昨年のシーズンベストを上回った。
 これはムハンマドにとって自己5番目のタイム。上位4パフォーマンスは全米選手権の52秒台2回と、メダルを取ったリオ(53秒13)とロンドン(53秒50)である。おそらくムハンマドは、より大きな舞台で記録が上がるタイプなのだろう。ダイヤモンドリーグやワールドチャレンジミーティングの記録は、底上げに相当する部分といえそうだ。
 昨年までムハンマドはダイヤモンドリーグで出した最高記録は53秒65で、自己記録が52秒64だった。その差は1秒01。仮にプラス1秒が見込めるとするなら、今大会を53秒34で走れば、今季の全米選手権か世界陸上ドーハで52秒34の世界記録更新も期待できる。
 そう簡単な話ではないだろうが、53秒台中盤から前半を出したとしたら、底上げが確実に進んでいる証拠。ゴールデングランプリと世界陸上のムハンマドをセットで見ることも、日本のファンにしかできない楽しみ方になる。

●女子トラック種目最古の日本記録更新の期待
 女子100mハードルは金メダリストのピアソンが出場する。11年世界陸上、12年ロンドン五輪を“精密機械”と呼ばれる正確なハードリングで連覇した。15年世界陸上、16年リオ五輪と故障が続いて出場できなかったが、17年世界陸上で見事に復活Vを果たした。
 しかし昨年も故障に見舞われ、4月以降はレースから遠ざかった。今年に入って復帰しているが、4月第1週の豪州選手権は決勝を棄権。豪州選手権の予選が12秒99、織田記念も12秒99と記録的にも振るわない状態だ。
 だがヤンマースタジアム長居は、ピアソンにとって縁起の良いトラックである。12年も前の話ではあるが、100m自己記録の11秒14を、07年世界陸上大阪の100m予選で出した。復調のきっかけをつかむには、うってつけの競技場だろう。
 ピアソン以外も豪華メンバーだ。16年リオ五輪銅メダルのK・カストリン(米国)、リオ五輪6位のP・シーモア(バハマ)、15年世界陸上北京8位のS・ネルビス(米国)、13年世界陸上5位のQ・ハリソン(米国)ら、五輪&世界陸上で入賞経験のある選手が集う。
 日本歴代2位(13秒02)を持つ紫村仁美(東邦銀行)は、「ピアソン選手、クイーン選手、カストリン選手たちが来日します。すごいメンバーでうれしい限りです」と、世界のファイナル・レベルのレースを心待ちにしている様子。
 この種目では12秒台が日本女子選手の悲願となっている。日本記録は金沢イボンヌが2000年にマークした13秒00。その後、池田久美子、寺田明日香、木村、紫村が13秒05以内を2回ずつ、計8パフォーマンス出しながら、13秒00が壁になっている。
 世界陸上ドーハの標準記録が12秒98なので、日本新を出せば標準記録突破も同時に達成する確率が高い。
 今季は木村文子(エディオン)が好調だ。アジア選手権に13秒13で優勝したが、タイム以上に強さを感じさせた。地域選手権優勝で世界陸上ドーハ標準記録突破と同等の資格を得て、プレッシャーなく集中しやすい状態だろう。世界リレー2019横浜のシャトルハードルリレー決勝でも、1走で、12秒54の自己記録を持つ米国選手に僅差で続いた。
 紫村と、昨年の日本選手権優勝者の青木益未(七十七銀行)は、12秒98の標準記録を破るしか世界陸上への道は残されていない。
 現役最速の紫村は、木南記念(5月6日)で13秒22。12秒81の記録を持つ米国選手に0.21秒差の2位だった。「前半で浮かないように、どれだけ攻めることができるか。(12秒台に)あとほんの少し、というイメージはあるんです」と話した。
 女子トラック種目では最古の日本記録。令和最初のゴールデングランプリで、歴史の扉が開かれるのだろうか。

●男子で複数の標準記録突破者誕生か
 男子110mハードルと400mハードルは、メダリスト級の外国選手はいないし、五輪&世界陸上の入賞者も手元の資料では1人ずつしか出場しない。日本勢が力を出し切れば善戦できる顔ぶれだが、外国勢が記録的に優位に立っているのも事実である。
 110mハードルは自己記録が13秒28~13秒36と、同レベルの選手が5つの国から集まった。昨年13秒36の日本記録をマークした金井大旺(ミズノ)もそのうちの1人だが、国際大会ではまだ力を発揮できていない。日本開催で最高レベルの今大会で、なんとかきっかけをつかみたい。幸い、昨年10月に世界陸上標準記録の13秒46には達している。失敗を怖れずに記録と外国勢に挑むだろう。
 好調なのは石川周平(富士通)で、昨年まで13秒67が自己記録だったが、織田記念で13秒54、木南記念で13秒50と自己新を連発した。風などの条件に恵まれれば、標準記録を破るのではないか。
 400mハードルの日本勢も、外国勢に挑みながら標準記録(49秒30)を破ることが一番の目標になる。野澤啓佑(ミズノ)が上回りそうな勢いだ。
 野澤は16年に48秒62まで記録を伸ばしてリオ五輪でも準決勝に進んだが、17、18年と故障からの回復が不十分で50秒を切ることができなかった。今季は3月末のシンガポール・オープンが49秒59、5月3日の静岡国際と6日の木南記念が49秒84と49秒52と安定している。5月の2大会は今大会にも出場する陳傑(台北)に2連勝した。陳はアジア選手権で、自身初の48秒台を出して2位に入った好調の選手である。
 16年の野澤は前半のインターバルを13歩で行くことができたが、今季はまだ14歩で走っている。左右どちらの脚でも踏み切れる器用さがあるから影響は少ないが、13歩ほどスピードが出ないのも事実だ。
 ゴールデングランプリで13歩を使うかどうかは、木南記念の時点では明言しなかった。直前の状態を見て判断するのだろう。木南記念では前半を陳にリードされたが、ゴールデングランプリで野澤が先行したり同じスピードで前半を走っていたりしたら、13歩を使っている可能性がある。後半も粘ることができれば48秒台が出ているだろう。
 男子ハードル2種目は、複数の標準記録突破者誕生が期待できそうだ。

写真提供:フォート・キシモト

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