【明日午後1時30分TBS系列生中継】

6eb85c2d51a0204c3493

【明日午後1時30分TBS系列生中継】
《セイコーGGP2019注目種目》
TEXT by 寺田辰朗
男子4×100mリレーは失格した世界リレーと同じ走順
37秒台を出せば東京五輪出場が確実に

 男子4×100mリレーが期待できそうだ。先週の世界リレー2019横浜は3・4走のバトンミスで失格してしまったが、今大会では1走から多田修平(住友電工)、山縣亮太(セイコー)、小池祐貴(住友電工)、桐生祥秀(日本生命)と、同じ走順でもう一度トライする。世界リレーでも3走まではトップを走るなど、個々の走りも1・2走と2・3走のバトンパスも良かった。
 4人全員を9秒台選手で固めた米国が強敵だが、米国に勝つことと37秒台を出すことがゴールデングランプリでの目的となる。

●バトンミスの原因は何だったのか
 世界リレー2019横浜は、バトンパスを世界と戦う武器にしてきた日本にとってはショックだった。
 3走の小池から4走の桐生へのバトンパスで、桐生の手にバトンが収まらなかった。桐生が弾いたバトンを小池が受け取ろうとしたが、ハンブルするような形で最後はひじでバトンを弾き、桐生もハンブルしながらも最後は両手でバトンをつかんだ。
 桐生が立ち止まるようにバトンを受け取っている間に米国と中国が先行し、日本は3番目でフィニッシュ。速報では一度、3位・38秒59と表示されたが、リレー種目の競技規則には、バトンを手渡さなければならない規定がある。日本はバトンを投げて渡したと見なされ、失格となった。
 小池は「バトンのもらう位置や、最後の渡す位置もいつもとちょっと違ったりして、そういったところに咄嗟の対応ができなかった」と、悔しそうに振り返った。
 桐生も「どこかで気持ちの緩みがあったのかもしれない」と自身を責めた。
 土江寛裕五輪強化コーチは翌日、バトンミスについて次のようにコメントした。
「2・3走のバトンパスで小池君がかなり引っ張って(バトン受け渡しゾーンの先の方で)受け取りました。山縣君のスピードが最後まであったので上手く渡せたのですが、引っ張った分、バトンを握る位置が先の方になってしまったようです。小池君も持ち直しながら桐生に渡そうとしたのですが、桐生の出方が(左右に)少し揺れて内に入る出方になった。3走のクセが出たのかもしれません。そういった小さなミスが重なって、バトンが桐生の手の中に収まらなかった可能性があります」
 16年リオ五輪銀メダル(37秒60のアジア新。国別世界歴代4位)、17年世界陸上ロンドン銅メダル、18年アジア大会金メダルと、過去3シーズンの最重要国際試合は結果を出してきた。世界から驚嘆の目で見られている日本のバトンパスも、100%完璧というわけではないことを、ある意味確認した形になった。

●前日のバトン練習で好感触を得た小池
 だが3・4走のバトンパスまでは、世界リレーの日本の走りは目を見張らされるものがあった。「ハンブルしたところを除けば完璧に近かった」(土江コーチ)
 土江コーチの分析によれば、1走の多田は「本来の走りに近かった」という。多田が絶好調だった2年前の、世界陸上1走に迫る走りだったのだ。2走の山縣は、リオ五輪2走の飯塚翔太(ミズノ)とほぼ同じ。
「山県君の特徴はスタートからの立ち上がりの速さだけでなく、最後までスピードを持続できるところ。小池君が(速いスピードで)引っ張りましたが、山縣君が最後までしっかり走って(バトンを)押し込んだ」
 3走の小池は速いスピードでバトンゾーンを走れたこともあり、3走で世界一と言われたリオ五輪の桐生以上の区間タイムだったかもしれないという。
 そして桐生だが、「ハンブルしたあとの走りは桐生らしさが出ていました。一度止まったような状態から9秒9くらい。100mでも同じ程度のタイムに匹敵する走りだったと思います」
 これまで1走を任されることが多かった山縣が、直線の2走でも力を発揮できた。そして3走の小池が、ここまで走れたことが大収穫だった。2走・山縣、3走・小池は十二分にメダルレベルだった。
 ゴールデングランプリ前日の日本チームは、1・2走、3・4走、2・3走の順にバトンパス練習を行い、その後は各自でスタートダッシュなど個人練習を行った。
 小池は練習後に「いつも通りのスピード感で行いましたが、遠いと思っても追いつくんだな、とわかりました。桐生も不安なく、キレが増していたような気がします」と話した。
 明日の4×100mリレーは、失格の影響を感じさせないバトンパスを見せてくれそうだ。

●ジョッグバトン、流しバトンで基本を徹底
 男子4×100mリレーは米国がライバルとなる。アジア大会2位(38秒77)のインドネシア、同4位(38秒98)の台湾も侮れないが、37秒台を出せるのは日米両国だけだろう。
 米国は9秒74のJ・ガトリンを中心に、9秒93のC・バレル、同じく9秒93のC・ベルチャー、9秒99のK・ウィリアムズと、全員が9秒台の自己記録を持つ。普通で考えたら日本に勝ち目はないが、100mの合計タイムで決まらないのが4×100mリレーという種目である。その醍醐味を、ゴールデングランプリでも堪能できるだろう。
「日本もリレーの失敗は何度も繰り返してきました」と土江コーチ。「でも、その度にマイナーチェンジをして、日本の4×100mリレーを作り上げてきました」
 土江コーチはゴールデングランプリ2日前のミーティングで、ジョッグバトンと流しバトンの徹底を指示したという。リレーメンバー4~6人が、集団でジョッグや流しをしながら「ハイ」と声をかけてバトンをパスしていく。全力で行うバトンパス練習とは違い、イージーな練習に見える。
「そこでお互いのクセを確認する練習なんです。次の選手がもらいやすい位置はどこか、前の選手が渡しやすい位置はどこか」
 リオ五輪の前にはスタッフの指示ではなく、選手たちが自発的にその練習を行っていたという。
 日本の4×100mリレーは銀メダルの北京五輪の年から、バトンパスを行う40m区間のタイムを繰り返し測定し、誰がどんな組み合わせで走っても3秒7台を出せるようになった。そうした高度な練習がバトンパスの精度向上に役立ってきたが、ジョッグバトンなど地味で基本的な練習も日本のバトンパスを支えてきたのである。
 昨年のゴールデングランプリで37秒85を出したことで、今年の世界陸上ドーハはタイムので出場権を得ることが決定的だ(世界リレー2019横浜の上位10カ国と、それ以外の国でタイムの上位6カ国)。今年も37秒台を出せば、来年の東京五輪出場権を決定的にできるが、すべてが上手くいけば37秒60のアジア記録に迫る可能性もある。
 日本の男子4×100mリレーはそのくらい、世界的に見てもレベルが高い。37秒台を自国開催の大会で見られるのは、日本の陸上ファンの特権である。

写真提供:フォート・キシモト

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)