【織田幹雄記念国際2017】

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【織田幹雄記念国際2017】
桐生、9秒台ならず「また(10秒)0台か」
しかし向かい風での10秒04は世界レベル

 期待された男子100mの9秒台を出すことができず、桐生祥秀(東洋大)のコメントには無念さがにじみ出た。
「ちょっと悔しいです。タイムを見て、また0台か、と思った。いつもと違って記録を狙っていた大会です。9秒台を出して初めて、世界と勝負できる。自分はまだ、スタート位置にもつけていない」
 世界と戦うことが桐生の本当の目的だからこそ、9秒台という形にできなかったのが悔しかった。

 だが、今回の織田記念は桐生の強さを示す走りだったと思う。
 午後になって、風が肌を刺すくらいになった。他のトラック種目の記録を見ても、気象条件がベストコンディションでなかったのは明らかだ。
 そのなかでの10秒04(向かい風0.3m)である。
 桐生自身は「世界陸上標準記録(10秒12)は何回切っても同じこと」と、今季100mで出場した3試合全てで10秒0台を出しても、それほど喜んでいない。
 だが10秒0台の回数は、4年前の10秒01(日本歴代2位)から始まって9回となり、これまで8回で並んでいた山縣亮太(SEIKO)を1つリード。歴代最多回数となった。

 世界との距離が縮まったことを示すデータもある。10秒04は向かい風の中で出たタイムとしては日本最高記録(日本記録の10秒00は追い風1.9m。追い風2.0mまでが公認)であり、世界的に見ても簡単に出せるタイムではない。
 2016年シーズンに向かい風の条件下で10秒04以内を出したのはウサイン・ボルト(ジャマイカ)や、リオ五輪100m銀メダルのジャスティン・ガトリン(米国)、200m銀メダルのアンドレ・ドグラッセ(カナダ)らそうそうたるメンバー。その数は8人だけで、五輪&世界陸上の決勝に残る人数である。
 桐生は「向かい風とかに関係なく9秒台と思っていた」と話した。世界の決勝に残るにはそのくらいの力が必要だと、本能的に感じ取っていた。

 今季の桐生が見据えているのは、8月のロンドン世界陸上である。
「まだ4月で、色々と試していることもある段階です。そのなかで後半は上手く走ることができましたが、前半はリズムを崩していたところもあったかな。言ってみれば、まだまだ伸びシロがあります。これからは世界陸上までどの大会でも、今日の10秒04よりかからないようにしたい。全部の大会で9秒台、10秒0台で走って、ロンドンではファイナルを目指します」
 ロンドン世界陸上で結果を出したとき、織田記念は悔しいレースではなく、世界へ駆け上がるために必要なステップだったと、評価を変えられるだろう。
TEXT by 寺田 辰朗
【世界陸上ロンドン8月開幕】

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