【MGCシリーズ・びわ湖マラソン2019前日会見】

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【MGCシリーズ・びわ湖マラソン2019前日会見】
MGC出場権獲得済みの山本憲二に期待大
佐々木は旭化成MGC「0人」のピンチを乗り切るか!?

 MGCシリーズの男子最終戦、びわ湖マラソンの前日記者会見が9日夕方、大津市内のホテルで行われた。日本勢は山本憲二(マツダ)、川内優輝(埼玉県庁)、佐々木悟(旭化成)、大石港与(トヨタ自動車)の4人が出席。はすでにMGC(マラソングランドチャンピオンシップ。東京五輪とほぼ同じコースで9月に開催され、五輪代表が最低でも2人は決定する)出場権を獲得している山本は、「練習通りの結果を出す」と、控えめな表現のなかにも手応え十分の様子。川内はMGC出場権も持つが、狙っているのはドーハ世界陸上で、そのために2時間9分台を狙う。リオ五輪代表だった佐々木は、現在MGC出場選手「0」の名門・旭化成のベテランとして、チームのピンチを救おうと意気込む。そしてトヨタ自動車キャプテンの大石は、MGC獲得者3人がいるチームの勢いに乗りたいと考えている。
●練習の充実ぶりが伝わってくる山本
 山本は会見で、それほど大きなことは言わなかった。タイムや順位などの目標を質問されると、次のように答えた。
「練習通りの結果を示したい。その結果が良い順位、良いタイムになればいいのですが、まずは練習通りのことを出したいと思います」
 マツダのマラソン練習は、「3カ月で作っていくやり方ではなく、年間を通じていつでもマラソンに向けてやっていける」と増田陽一監督は言う。そこを踏まえた上で、山本のマラソン練習の特徴を話してくれた。
「入社した頃は故障が多く、自分に合ったトレーニングを考えました。高負荷で2日連続のセット練習などは行わず、低負荷で長めにストレスをかけるスタイルです。フォームも改良しました。上に跳ねる走り方で、それでハーフマラソンまでは走れるのですが、フルマラソンだとスタートラインに立つことも難しかった」
 今大会は最後の5kmを14分台に上げることもイメージして、変化走にも取り組んだ。3km+3kmを(1km毎)3分切りと3分30秒で動きを切り換えて4~5回繰り返す。距離にすれば24kmか30kmだ。
 疲労を抜く段階で想定外の状態もあったが、先頭集団の3分02秒のペース(予定)も「遅く感じられるはず」(増田監督)という練習はしてきた。
 山本昨年の東京マラソンで2時間08分48秒(9位)をマークし、MGC出場資格を獲得するまで、はノーマークに近い存在だった。2回のマラソン出場で、自己記録は2時間15分19秒。ナンバーカードの「115」は一般参加を示していた。
 東洋大では2代目“山の神”の柏原竜二と同じ学年。2学年下には、卒業後にマラソン前日本記録保持者となる設楽悠太(Honda)と、兄の設楽啓太(日立物流)がいた(当時は啓太がエース)。山本も箱根駅伝には出場していたが、目立つ存在ではなかった。
 実業団入りして7年。学生時代に1本走ってはいたが、17年びわ湖で実業団入り後初のマラソンを走り始めてから、確かな強さを身につけ始めた。
「MGC出場権は持っていますが、マラソン経験はまだ少ないので、マラソンの1本として色々と経験をして、MGCで勝負するための引き出しにしたい」
 アフリカ勢次第ではあるが、レース終盤まで山本が優勝争いに絡む可能性がある。
●MGCの条件は「厳しくはない」と佐々木
 ニューイヤー駅伝3連勝中の旭化成は、マラソンの名門でもある。その旭化成でMGC出場権を獲得した選手が、いまだに現れていない。4月にも村山謙太(旭化成)がハンブルク・マラソン出場を予定しているので、びわ湖がラストチャンスというわけではないが、できれば国内マラソンで“マラソンの旭化成”の強さをアピールしたい。
 リオ五輪代表だった佐々木のスタイルは、「つねに自己記録を目指す」こと。ライバルの存在など、外的な刺激で自分が変わることはなく、自身のことに集中して結果を出してきた。
「12月の福岡国際(8位・2時間11分40秒)のあと、練習に波があったのですが、2月に入って25kmの距離走など、問題なく練習ができました。(チームの状況は)もちろん、しっかりとわかっていますが、個人的にそこまでプレッシャーは感じていません。(旭化成がゼロだと)言われることはわかっていたので、結果を出せるよう立ち向かっていくだけです」
 MGC出場権獲得条件は、それほど高いわけではない。びわ湖なら(出場権を持つ選手を除いて)日本人1~3位は2時間11分00秒以内、4~6位は2時間10分00秒以内だ。2レース平均で2時間11分00秒以内なら、ワイルドカードという形で獲得できる。すでに28人という人数が、MGCファイナリストとなっているのだ。
 佐々木も「現実的に見て、厳しくはないと思う」と認める。旭化成からは昨年の初マラソンを2時間12分18秒で走った本田匠、2月の別大マラソンに2時間12分23秒で走った市田宏が出場する。MGC出場条件をそろってクリアしても不思議ではない。
●大石と松村はチーム4人目のMGC出場者となるか
 旭化成とは対照的に、チーム内に3人のMGC出場権獲得者が出ているのがMHPSとトヨタ自動車の2チーム。ニューイヤー駅伝でもトヨタ自動車は3回優勝、MHPSは今年2位に躍進と、駅伝でも結果を出している。
 トヨタ自動車の大石、MHPSの松村康平ともチーム最年長。大石は2年前の別大で2時間10分台を出し、その後のトヨタ勢快進撃の口火を切った。松村はMHPS初のサブテン(2時間8分台)を実現させた選手で、2014年の仁川アジア大会代表だ。
 トヨタ自動車は昨年2月の東京で宮脇千博(2時間08分45秒)が、10月のシカゴで藤本拓(2時間07分57秒)が、そして12月の福岡国際で服部勇馬(2時間07分27秒)がMGC出場権を獲得した。2時間7分台はレベルが高く、MGC本番でも上位が期待できるメンバーだ。
 大石は独特の語り口が特徴の選手。熱い思いに変化をつけて口にする。
「去年の東京からチームの後輩がたくさん良い結果を出し続けています。ある意味、続かないといけない、という思いもありますが、後輩がチームを引っ張ってくれる安心感もある。肩の荷が降りたことは、自分にプラスになる部分かもしれません」
 旭化成の選手とは逆の立場を、プラスに働かせるつもりだ。
 MHPSは昨年の東京で井上大仁(2時間06分54秒)と木滑良(2時間08分08秒)の2人がMGCを獲得し、井上は8月のアジア大会でも32年ぶり金メダルの快挙を達成した。そして今年2月の別大では、ニューイヤー駅伝出場すら今年が5年ぶりだった岩田勇治が、2時間09分30秒で3人目になった。
「岩田まで取りましたからね」と、チームメイトの松村でさえ驚きを隠さない。そのくらい、今のMHPSには勢いがある。
 その状況で、昨年3月から右アキレス腱の痛みでブランクが生じた松村は、自身の立ち位置をどう感じているのか。
「そこまで自分が追い込まれている感じはしていなくて、プレッシャーで眠れないとかはありません。今はもう一度、マラソンで結果を出したい思いが強いですね。結果としてわかりやすいのが、MGCということになるんですけど。そういう舞台でもう一度戦いたい」
 社会的に評価をされたい思いもゼロではないが、純粋に高いレベルの舞台で、自分のマラソンを思い切り走りたい。32歳は純粋さを持ち続けている。
●MGCよりもドーハ世界陸上代表を目指す川内
 佐々木33歳、松村32歳、大石30歳と、今年のびわ湖は三十路選手が多い。山本も29歳である。そこに32歳の川内も、上位争いに加わってくる。松村とは同学年になるが、川内も純粋さでは負けていない。
 3月いっぱいで埼玉県庁を退職し、フリーの立場で活動していく川内。MGC出場資格も持っているが、現在の最大目標はドーハ世界陸上だ。暑さに弱いことから、17年ロンドン世界陸上を最後に夏の国際大会からは身を退いたが、ドーハが深夜の時間帯に行われると決まり出場を考え始めた。
 長距離・マラソンに関して多くの価値観(視点)を持つオタク的なランナーでもあるが、日本代表に関していえば、戦えないのなら「日の丸を付けるべきではない」というのが持論である。
 酷暑が予想される東京五輪代表入りは、当初から考えていなかった。だが、その東京五輪も、早朝にスタートする方向で進んでいる。
 日本陸連は9月のMGCと10月のドーハ世界陸上の、両レースに出場することを禁じている。では川内は、どちらを優先するか。
 現時点は6月に世界陸上代表が決まるので、そこで代表入りすればMGCには出場しない。世界陸上代表になれなければ、MGCに出場する。
 明日のびわ湖も世界陸上代表選考会の1つ。選考会上位者の大半が代表を辞退すると思われるので、どんな成績を出せば代表入りできるかはわからない。だが、世界陸上選考会各大会の上位記録を見れば、2時間9分台を出せばかなりの確率で選考されそうだ。
 会見では「記録は2時間9分台、順位は3位以内」とコメント。川内の言う3位以内は、福岡国際と東京で3位以内に入ったことがあるので、びわ湖でも3位以内に入って「国内3大マラソンのすべてで表彰台に上がりたい」という願望である。2時間9分台は昨年、サブテン(2時間10分切り)ができなかったからだ。どちらもオタク的な願望だが、個人的にはそういったこだわりを持つランナーは大歓迎だ。
 とにもかくにも川内は、他の選手たちがMGCばかりを見ているびわ湖マラソンで、世界陸上を見据えて走る。鋭い眼光の先は砂漠の大都市ドーハである。

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