【19日(日)ひる1時30分 TBS系列生中継】

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【19日(日)ひる1時30分 TBS系列生中継】
《ゴールデングランプリ2019最大の見どころ》
TEXT by 寺田辰朗
男子100mは打倒ガトリンの機が熟したか?
選手個々の走りは世界リレーで期待値が上昇
 ゴールデングランプリ開催まであと3日と迫った。今年は昨年に続き“西日本の聖地”、大阪・ヤンマースタジアム長居を舞台に熱戦が繰り広げられる。最大の注目は男子
100m。日本勢による“打倒・ガトリン”が実現できるかどうかが焦点だ。

●山縣の意気込み
 ジャスティン・ガトリン(米国)は健在だった。5月11・12日に横浜で開催された世界リレーでは米国の2走で、1つ外側のイタリアとの差を一気に詰め、1つ内側の英国をじりじり引き離した。
 ガトリンは五輪&世界陸上の100m金メダル3個を持つスプリンター。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)がいなければ、その数は倍に増えていたはずだ。最近では2017年ロンドン世界陸上に優勝。引退を決めていたボルトから主役の座を奪って見せた。
 ゴールデングランプリでも常連と言っていい選手。過去4回出場し、その全てで優勝している。
 そのガトリンも今年2月で37歳になった。昨年のシーズンベストは10秒03。そのタイムは向かい風0.7mだったことを考えれば9秒9台の力はあるかもしれないが、全盛時の力はない。あれば世界リレーでも、周囲をもっと圧倒していたはずだ。仮に9秒9台の力なら、今の日本勢なら太刀打ちできる。
 ガトリンを超えなければ、日本選手が目標とする五輪&世界陸上での決勝進出はない。
 昨年のアジア大会銅メダル、山縣亮太(セイコー)はガトリンとのレースについて次のように話している。
「ガトリン選手は強いですが、あの人に勝てば日本短距離界のレベルが上がっている証明になります。東京五輪も近づいていますから、日本の短距離はやってくれるんじゃないかという期待を持ってもらえるように、ガトリン選手に勝ちたいですね」
 打倒ガトリンの機運は、かつてないほど高まっている。

●山縣の「キレ」が増している可能性は十分
 昨年、日本選手間で全勝だった山縣は今季、「キレ」が出ていないと何度も口にしている。
 4月のアジア選手権は準決勝1組をトップ通過したが、タイムは10秒18(+1.2)。決勝は右太腿裏に違和感があり、棄権した。5月6日の木南記念は多田修平(住友電工)に快勝したが、タイムは10秒21(+2.1)にとどまった。山縣は「スタートもそうですが、走り全体のキレが足りない」と首を傾げた。
 この冬は「世界水準の体を作り上げたいと考えて、部分的には上手く行った」という。
キレが出てくるには時間がかかるかと思われたが、世界リレーの2走では、慣れない走順でハイレベルの走りを見せた。
「自分の走りの映像や、(陸連科学委員会計測の)タイムを見てみないとなんとも言えませんが、体の状態は少しずつ良くなっています」
 陸連科学委員会計測のデータは未公表の段階だが、土江寛裕五輪強化コーチによれば、リオ五輪2走の飯塚翔太(ミズノ)と同程度のスピードが出ていたという。
 世界リレーの走りで山縣がキレを取り戻した可能性は十分ある。ヤンマースタジアム長居は、17年に10秒00(+0.2)の自己新(日本歴代2位タイ)、18年にも10秒01(±0)で走ったトラックで相性は良い。
 ガトリンは2016年からゴールデングランプリ3連勝中だが、16年大会と18年大会の2位が山縣だった。16年は0.19秒だった差を、18年は0.07秒差に縮めている。
 山縣が9秒台で打倒ガトリンを果たしても、サプライズではない。

●バトンミスをした小池と桐生も走りは好調
 世界リレーのバトンミスは、3走の小池祐貴(住友電工)と4走の桐生祥秀(日本生命)の同学年コンビで起きてしまった。土江寛裕五輪強化コーチは「最大限の準備をしたし、油断があったわけではない」と選手たちをかばう。
 実際、選手個々の走りはレベルが高かった。小池はリオ五輪3走の桐生を上回っていたかもしれないという。桐生もいったん止まってから再スタートしたことを考慮すれば、9秒9前後の走りだった可能性もある。
 小池は3月に米国で走った100mでは、アジア大会200mで金メダルを取った昨年と比べ、前半のスピードが明らかに上がっていた。桐生は3月に豪州で10秒08(+2.0)で走り、4月のアジア選手権では10秒10(+1.5)でタイトルも獲得した。
 小池の100mの成長で、同学年コンビがガトリンを挟撃する可能性が大きくなった。
 世界リレーでは1走の多田も、得意のスタートでリードし、2走の山縣へのバトンパスまでスピードを維持していた。2年前の世界陸上ロンドン銅メダル1走時と、変わらない走りだったという。
 昨年は接地時に地面を押す動きを強調し、結果的に自分の走りを崩してしまったが、今季は以前の短い接地時間の走りに戻して再起を図っている。多田は世界リレーを「今季一番良い走り。徐々に上がっている」と振り返った。
 2年前のゴールデングランプリでは多田が、中盤までレースをリードした。0.07秒差で敗れたが、ガトリンに「多田は素晴らしいスタートで驚かされたよ」と言わしめた。
 今年はガトリンを、フィニッシュ地点までリードできるだろうか。

●二世スプリンターのバレルと、アジアの強敵ゾフリ
 日本勢の打倒ガトリンの可能性を中心に見てきたが、外国勢はガトリンだけではない。
警戒すべきは、キャメロン・バレル(米国)だろう。
 父親のリロイ・バレル(米国)は1991年に9秒90、94年に9秒85と世界記録を2度更新した世界でもトップクラスの選手だった。91年の東京世界陸上では、カール・ルイス(米国)に敗れたが銀メダルを獲得した。キャメロンの自己記録は9秒93。五輪&世界陸上の代表入りはまだないが、父親ゆかりの日本で父親の記録に近づくようだと、米国代表入りに大きく近づく。
 父親は前半型だったが、多田や山縣ら日本の前半型スプリンターたちと、キャメロンはどんなレースをするだろうか。
 アジアの強敵も参戦する。ラルムハンマド・ゾフリ(インドネシア)は昨年のU20世界陸上優勝者。昨年のアジア大会は7位だったが、今年のアジア選手権は金メダルの桐生に0.03秒差の銀メダルと、大きく成長している。現在の成長曲線は、今大会出場者中間違いなくナンバーワンだ。大金星を挙げることも、ひょっとするとあるかもしれない。

写真提供:フォート・キシモト

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